1992年2月10日、川崎クラブ・チッタにて行われたフィッシュボーンのライヴは、その質、内容、当時のバンド自体が持つ勢い、どれを取っても素晴らしいものでした。ライヴの模様はプロショットにて完全収録され、WOWOWなどで放映されました。

 このツアーでは、アンジェロが日本語でコミュニケーションを取りたかったようで、かなりがんばって色々な日本語をしゃべろうとしています。おそらくはローマ字で書かれたメモを片手にアンジェロが操る日本語…その不思議な味わいを紹介しましょう。なお、以下はmine-Dによる聞き取りをベースに書いていますので、「アレはこう言ってるんだよ」というのがあれば、ぜひお知らせください。

オドレマスカ?オドレマスカ?スンデレナイデ(?)、オドレマショウ!
 1曲目、柔道着(もしくは空手着)で登場したアンジェロの「いきなり客席ダイヴ」で始まった「Freddie's Dead」の後、mcで。客が湧きます。「スンデレナイデ」というのがよく分かりませんが、意図する所は伝わってきますね。(その後「スンデレナイデ→ヤスンデイナイデ」の意ではないか、とrocksaさんからご指摘いただきました。ありがとう )

 「Those Days Are Gone」(「Reality of My Soroundings」収録)に入る前、クリスがキーボードで中近東風の音をつま弾くのに合わせて、アンジェロが「シャラララ…」とアド・リブでメロディをつけはじめるのですが、その後…

バンドノ ナメエハ… バンドノ ナメエハ…フィッシュボ〜ン♪
と歌い出します。お分かりのように、「ナマエ」と言いたいワケですね。これは単なるmcではなく、日本語で「歌って」いるところが素晴らしいです。そして、「Those Days Are Gone」の前奏が始まると、

トンダリ! ハネタリ! トンダリ! ハネタリ!
とリズムに合わせて客を煽ります。もちろん自分でもジャンプ!

 「If I Were A...I'd」のトータル・ヴァージョンを挟んで、セカンド(「In Your Face」)に収録されているファンキーチューン、「Knock It」が始まります。その間奏で、ダーティ・ウォルトとしばし掛け合いをした後、

グズグズ スルナ!
と一喝! するとウォルトが客席に乗り出し、「Party!」「Party!」と煽ります。

 曲はそのまま「Naz-Tee May'en」(「The Reality...」)につながり、ファンキーなグルーヴが続きます。その後「Junkies Prayer」(「The Reality...」)に。これはどちらかというとアンジェロの別プロジェクト「Dr. Maddvibe」スタイルのポエトリー・リーディングなのですが、この日のヴァージョンでは、バックにクリスがキーボードで鳴らすヴァイオリンの音が流れ、CDとはまた違った味わいを聴かせています。そのポエトリーの中で、

トウキョウ オオサカ サッポロ ヨッパライ
の一節が。この曲はもともとドラッグで身を持ち崩していくブラザー達を描いている、はっきりしたアンチ・ドラッグのメッセージを伝える内容なのですが、上記の都市で夜毎見られる、日頃のストレスを酒で紛らす以外に術を知らないみっともない酔っぱらいオヤジ…同じようなものかもしれませんね。そういう事が言いたかったのでしょうか。

 この後はCDの曲順通り「Pray To The Junkiemaker」(「The Reality...」)が続きます。この辺りの流れは、このバンドのはっきりしたアンチ・ドラッグの姿勢を見せた構成と言えるでしょう。その次はしっとりとした「Movement In The Light」(「In Your Face」)。

 さて、ここから、この日のライヴ最大のヤマ場!に入ります。アンジェロとクリスのソウルフルな掛け合いが素晴らしい「Everyday Sunshine」(「The Reality...」)。長い長い間奏に突入です。楽器の演奏がやみ、ドラムだけがリズムをキープしています。どこからかメモを取りだしたアンジェロ、しきりに「言いたいことがあんだよ」とつぶやきながら、「オイ! Japanese!」と客席に向かって呼びかけます。

オイ! ウシロノ ホウデ オドッテルヤツ オキロ!
 いや、起きてると思うんですが…。ウォルトとアンジェロが客席後方を指さしながら、しきりに何かを伝えようとしています。

ウシロ アスニナッテ! ウシロ アスニナッテ!
 いよいよ、ここから伝説とも言える「アンジェロ、クラブチッタでPA卓まで泳ぐ」事件の始まりです。演奏の音がグワッと大きくなるのと同時にアンジェロが客席にダイヴ!そのまま客の上をクラウドサーフしながらどんどん客席後方へ送られていきます。ウォルトも「後ろへ送ってくれ、後ろへ送ってくれ」と呼びかけます。

 お客さんの協力もあって、ついに客席いちばん後ろの、PA卓に辿り着くアンジェロ。そこに仁王立ちして、またまた日本語で呼びかけます。

フィッシュボーン ガ サイコウノ オンガク ト ダンス デ コトバノ カベヲ ブチヤブルゾ!
 オーイエー!これはきちんと発音もしていて、最高ですね。素晴らしいメッセージです。

グズグズ スルナ!
 イエッサー。分かりました、親方。さらに客に向かって呼びかけます。

バンドノ ナメエハ ナンデスカ? バンドノ ナメエハ ナンデスカ?
 聞かれるたび、「フィッシュボーン!」と叫び返す観客。そしてまた、客の中にダイヴするアンジェロ。今度はステージまで送られていきます。長い長い距離を一気に泳ぎ切り、ステージに帰り着きます。「Everyday Sunshine!」のコール・アンド・レスポンスを経て、曲が終わります。興奮さめやらぬ感じの客席。

 この後、アンジェロがサーフィンの格好をしながら

ツナミ!
と叫ぶ一幕も。ありがとう、アンジェロ。このサイトの事も考えてくれて(んなこたぁない)。客席からも「日本一!」という声援があり、「さすがみなさん、分かってらっしゃる」といった風情です。いやいや、すばらしい。

 その後、「Fight The Youth」などを経て、ラスト、怒濤の「Bonin' in the Boneyard」高速ヴァージョンで幕を閉じたこの日のライヴ。本当に素晴らしいものでした。また日本語勉強して、来日した時に披露してね、アンジェロ。




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