Surfrock International 2007 日本盤CD:PCCY01836 Jack Ass Brigade / Let dem Ho's Fight / Skank 'N Go Nuttz / Party with Saddam / We Just Lose Our Minds / Frey'd Fuckin' Nerve Endingz / Devil Made Me Do It / Forever Moore / Behind Closed Doors / Premadawnutt / Faceplant Scorpion Backpinch / Date Rape (Bonus Live Disk) Angelo’s Rant / Party At Ground Zero / Ma and Pa / Snowboard rant / Faceplant / Stage banter / First Class Trip / Stage banter / Date Rape / Stage banter / Alcoholic / Stage banter / Servitude / Going Down South / Everyday Sunshine / Ugly |
前作との間に、ライヴ盤スタイルでリリースされた「Live at the Temple Bar and More」や、初のライヴDVD作品「Live in Amsterdam」などを挟んだものの、オリジナルアルバムとしては実に6年ぶりにリリースされた本作。ここまでたどり着くには、バンドは様々な困難を乗り越えなければならなかった。 前作「サイコティック・フレンズ」以来ギタリストとして活躍してきたスペイシーTだが、彼の友人が撮ったフィッシュボーンの映像を、DVD 「Critical Times」として勝手に発売してしまうというトラブルがあり(このDVDをフィッシュボーン側は認めておらず、「買うな」という声明をサイト上で発表した)、その絡みもあってスペイシーTが脱退してしまう。そしてついにはオリジナル・メンバーで、長年バンドと連れ添ってきたダーティー・ウォルトも脱退してしまい、バンドは結成以来何度目かの危機を迎えた。 普通のバンドだったら、何年も売れないまま活動してきた上にこれだけ何度も危機的な状況に置かれたら、とてもバンド続けていこうという気にはならないだろう。それでもこのバンドは体勢を立て直し、まずはSilverbackというマネジメント会社にきちんとしたマネジメントを託し、元スーサイダル・テンデンシーズのロッキー・ジョージや、ドレ・ギプソン等、新たなメンバーを迎え、ついにこうやってアルバムをリリースするところまでこぎつけた。 そして内容はというと…結論から言うとこれはもう素晴らしいとしか言いようがない。上で述べたようなハードな状況を経てきたのが信じられないくらい、躍動感にあふれたサウンドだ。スカ、レゲ、パンク、ファンクにヘヴィ・ロック、ハード・ロックといったごった煮サウンドのオリジネイター面目躍如というか、初期のサウンドに戻ったというか、本当に「フィッシュボーンらしい」音に仕上がっているのがうれしいところ。しかしここまではじけている音を聴いていると、とても20年以上キャリアのあるバンドとは思えない。あり得ない。 「Jack Ass Brigade」や「Let Dem Ho's Fight」「Frey'd Fuckin' Nerve Endingz」「Premadawnutt」などのパンキッシュな曲はこれでもかというくらいクレイジーにすっ飛ばしている。才能あふれる新メンバー、ドレ・ギプソンの随所におけるヴォーカルやコーラス、あるいはドラマーのジョン・ステュワードが「Faceplant Scorpion Backpinch」でラップを披露しているあたりが、新しい魅力と言えるだろう。ちょこっと出てくるメキシカンテイストのトランペットもおもしろい。それと、「Party With Saddam」や「Forever Moore」なんかのスカ・チューンの素晴らしさは、改めて特筆すべきものがある。 「We Just Lose Our Minds」や「Behind Closed Doors」といった、社会的メッセージとブルーズがないまぜになったような曲も、フィッシュボーン節健在という印象だ。また随所にユーモアも込められていて、まさに「This is Fishbone」という一枚。また「サダムともキム・ジョンイルともパーティーしようぜ!流れる血は同じだぜ」という「Party With Saddam」のメッセージは、フィッシュボーンにしか言えないだろう。素晴らしい。 ぜひとも現メンバーでじっくり腰を据えて、バンドとしてさらに進化していってほしいと、心から願っている。 |