サイコティック・フレンズ
Psychotic Friends Nuttwerx(2000)
Hollywood Records 2000
日本盤CD:BMG/BVCA695

Shakey Ground / The Suffering / Where Did You Get Those Pants / Everybody is a Star / One Planet People / Just Allow / Aids&armageddon / It All Kept Startin' Over / Dear God / Karma Tsunami / In The Heat of Anger(Bonus Track)

 実に4年振りにリリースされたオリジナルアルバム。その間にフィッシュ、ジョン・ビッガムの2人も脱退し、けっきょくバンドに残ったのはアンジェロ、ノーウッド、ダーティ・ウォルトの3人のみになってしまった。新たに3人のメンバー(スペイシーT、ジョン・マクナイト、ジョン・ステュワード)を加え、さらにはジョージ・クリントン、バッド・ブレインズのHR、ペリー・ファレル、レッド・ホット・チリ・ペッパーズからはフリー、ジョン・フルシアンテ、チャド・スミスといった、そうそうたるメンバーをゲストミュージシャンに迎えて制作された。こうした経緯からか、このアルバムの名義は「Fishbone and the Familyhood Nextperience」となっている。

 一聴したところ、サウンド的には単純に「大人しくなった」というのが素直な印象だ。以前「The Reality of my Soroundings」や「Give a Monkey a Brain...」で見られたようなヘヴィロック表現は影を潜め、どちらかというと聴き心地のいいレゲエ、ミドルテンポのスカ、R&Bなどの曲で固められている。とはいえ、メロディのよさ、グルーヴ感といった、彼ら本来の持ち味失われていない。

 個人的な聴き所を挙げておくと、P-Funk色濃厚でゆったりとしたグルーヴを聴かせる1曲目の「Shakey Ground」、思想的に彼らと通じるものがあると思われるスライ&ザ・ファミリーストーンのカヴァー「Everybody Is A Star」(ジョージ・クリントンをはじめ、多数のゲストヴォーカルが参加している)、スウィングしている「Karma Tsunami」などだろうか。

 以前のような爆発的な躍動感は感じられないし全体的に「ゆるい」印象は免れないが、バンド自体が苦しい時期を通過した末での「仕切直し」的意味合いが強い作品だと言える。2000年夏にフジロックのため来日した際、「Juice」というミニコミ誌のインタヴューに答えてノーウッドが次のように述べている。

「(前略)このアルバムはフィッシュボーンにとっての新しい始まりのようなもんなんだ。考えてみると、おれ達が最初にバンドを始めた頃に戻ったような…。だけど同時に、フィッシュボーンの目指す未来でもある。(後略)」

 今現在のバンドをそのまま切り取ったという意味で、なんというか「ショウケース」的性格を持つアルバムだという印象も持つが、いずれにせよ、このサウンドが彼らの新たな「原点」になるはずだ。これから彼らのサウンドスタイルがどのように変化していくのかは分からないが、すばらしく意味のある音楽という点ではきっと変わらないことだろう。フィッシュボーンはまだまだくたばってなどいない。これからも転がり続けるのだ。




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