フィッシュボーン
Fishbone(1985)
Sony Music 1985
日本盤Vinyl:CBS/20AP 3069,CD:SONY/SRCS 5569

Ugly / Another Generation / ?(Modern Industry) / Party at Ground Zero / V.T.T.L.O.T.F.D.G.F. / Lyin' Ass Bitch

 まさに「衝撃的」といっていいほどのインパクトを持ったファーストミニアルバム。収録曲こそ6曲と少ないが、フィッシュボーンというバンドの特徴、魅力を物語るのに十分な、勢いにあふれた一枚。スカ、ファンク、レゲエ、パンクといった要素が渾然一体となっり、若さにまかせて爆走するその音楽性は、明らかにそれまでの「ブラック・ミュージック」の枠を大きくはみ出していた。

 プロデュースはバングルズなどを手がけてきた事で知られるデヴィッド・カーン。彼がフィッシュボーンを発掘し、CBSと契約させた。この後「Truth and Soul」までプロデュースを担当することになる。

 驚くべき事に、デヴュー時のメンバーの年齢は17〜20歳だった。当時のメンバー写真には、どう見ても「L.A.貧困地帯の若いギャング」としか言えない出で立ちの面々が写っている。しかし、このバンドはデヴュー時から反権力指向、現代社会に対する批評性など、高い「社会性、政治性」を有していた。「Party At Ground Zero(=核爆弾投下地点でパーティー)」や「V.T.T.L.O.T.F.D.G.F.(=Voyage Through the Land of the Freeze Dried Godzilla Farts=フリーズドライされたゴジラの屁の国の旅)」などは当時続いていた米ソ間冷戦という状況の下で、誰もが抱いていた核戦争勃発への潜在的な恐怖感、狂気を描いている(ちなみにゴジラの主食は放射能)し、「Ugly」では俗悪な政治家を辛辣に批判している。

 一方、定番曲「Lyin' Ass Bitch」ではフシダラで節操のない恋人にキレまくる男の心情をひたすら描いているなど、地に足のついた生活感と、先に述べたような政治問題を同じ感覚で歌にしてしまえるのも、彼らの特徴のひとつと言えるだろう。

 スペシャルズ、マッドネスといったツートーンレーベルのスカバンドのセンスから一歩踏み込んだ、爆発的なパンク・スカを実現させたバンドが出てきたワケだから、これはもう驚愕としか言いようがない。後に、いわゆる「スカコア」とカテゴライズされる多くのバンドに与えた影響も計り知れない。フィッシュボーンミュージックの偉大な始まり。(mine-D)




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